取れるときに、取っておく

カナダ高校留学中の学生たちは、学校の授業を自分で選んでいくことになります

特に、英語を母語としない留学生の場合、最初の頃はELL(English Language Learning)を履修します。

この授業では、授業開始前に新入生が受ける英語テストの結果をもとに、それぞれの英語レベルに合ったクラスに分かれます。

ただ、もちろん全員が同じように履修するわけではありません。

英語力によっては、ELLとEnglish 10を同時に履修する学生もいますし、時間割の都合で最初の学期にELLを取れないこともあります。

そして、こんなこともあります。

「ELL、もう取りたくない。」

以前、そんな学生がいました。

「9月からはELLを取りたくない」

その学生は、4月の学期途中からカナダの高校へ入学しました。

最初の学期はELLを履修。

どうやら、授業があまり本人には合わなかったようです。

「こんな授業なら……」

という気持ちもあったのでしょう。

そして、9月から始まる新学期を前に、

「ELLは取らない。」

ということになりました。

そこで、9月からはELLを履修せず、Social Studies 10など、他のアカデミックな授業を履修することになりました。

ここまでは、それほど変わった話ではありません。

本人としても、その時点では納得していたと思います。

高校の授業は、その学期だけで考えられない

カナダの高校では、科目によって履修する順番があります。

英語の科目もそうです。

例えば、ELLをいつ履修するのか。

English 10をいつ履修するのか。

その後、English 11、English 12をいつ履修するのか。

卒業までの時間を考えると、これらをどこに入れるかが大切になってきます。

もちろん、すべてが予定どおりに履修できるとは限りません。

時間割の関係で、取りたい科目がその学期に取れないこともあります。

逆に、履修できる状態なのに、本人が「今は取りたくない」と選ばないこともあります。

そして、その選択があとになって影響してくることがあります。

この学生の場合、4月途中から学校へ通い始め、夏休みまでの約2カ月半の授業、夏休みの間にも、リスニングやスピーキングはかなり伸びました。

それなら、9月からアカデミックな授業に入っていけるかもしれない。

本人も、そんな気持ちがあったのかもしれません。

でも、実際にアカデミックな授業を受けてみると、やはり苦戦しました。

英語力が伸びたからといって、すぐにアカデミックな授業についていけるとは限りません。

授業で使われる英語や、教科の内容を理解するための英語は、また少し違います。

そして、ここから履修についても、いろいろと考えなければならなくなりました。

そして、結局。

そんなこんなで、その学生がどうしたかというと。

後期でELLを履修しました。

最初からそうしておけばよかった、と言えばそれまでなのですが、私はこの学生のケースを見ていて、単純に「最初からELLを取ればよかったね」とは思いませんでした。

そのとき、その学生には「ELLを取りたくない」という理由があったわけです。

実際、英語力も伸びていました。

だからこそ、本人が「もうELLじゃなくてもいいんじゃないか」と考えるのも、分からなくはありません。

ただ、高校の履修というのは、そのときの一つの選択だけで終わるものではありません。

その先に履修する科目があり、そのさらに先に卒業があります。

だからこそ、「今、この科目を取るか取らないか」だけではなく、少し先まで見ておく必要があります。

「取れるときに、取っておく」

これは、私たちが学生の履修を考えるときによく思うことです。

もちろん、時間割の都合でどうしても取れないこともあります。

本人が別の科目を優先したいこともあります。

その選択自体が悪いわけではありません。

ただ、

「今は取らなくても大丈夫。」

と思っていた科目が、あとになって、

「え、これ、いつ取る?」

となることがあります。

特に卒業を目指している学生の場合は、必要な科目をできるだけ早い段階で履修しておくことで、後の学期に余裕を持たせられることがあります。

英語に限った話でもありません。

他の必修科目でも、履修できる学期や、その後につながる科目が決まっていることがあります。

だから、目の前の時間割だけを見るのではなく、

「この学期にこれを取ったら、その次はどうなる?」

と、少し先まで見ながら考えていくことが大切です。

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